太陽みたいなキミだから
「部長、何度も助っ人のお願いされてすごいですね」

「全然すごくないんだって。あいつら、人数がそろわないからって、暇そうに見えるオレをターゲットにしているだけなんだから」

「そんなこと……」

 ないと思うけど。そう言いかけたとき、ふとある疑問が頭に浮かんだ。

「サッカー部って人数そろってないんですね」

 サッカー部なんて、人気でつねにレギュラー争いをしていそうなものなのに。
 それに、サッカー部の部員が足りないなんて話、聞いたことなかった。

 わたしの質問に片桐部長が意外そうに片眉を上げた。

「ああ、もともと三年と二年合わせてもギリギリの数だったんだ。それなのに去年の秋に、オレたちの代のやつが病気で死んじゃって……」

「え?」

「あれ、知らない? ……知らないか、学年ちがうもんな。かわいそうだったよ、本当。レギュラーの中でもかなりうまい方でさ、あのまま続けてたらサッカーの強豪校からオファーだってきそうだったのに」

 ――思い出した。
 ちょうど一年前、紗枝から聞いた話。サッカー部の先輩が入院することになったと。
『入院している先輩のために!』ってはりきって折り鶴を集めていたんだ。わたしも参加したけど、わたしには遠いことのように思えてあまり記憶にない。
 しばらくして、先生からその先輩が亡くなったことを聞いた。人気のあった人だから、ものすごい騒ぎになったんだ。
 誰だっけ、その人。折り鶴にはたしかに名前を書いたはずなのに。知りたいけど……なんでだろう、知るのが怖い。

「あ、の、その人って……」
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