太陽みたいなキミだから
11. 真実と涙
薄暗い、夜の匂いがする空は、地平線だけ燃えるようなオレンジ色に染まっている。
『黄昏時』と呼ばれるこの時間が、わたしは好きだった。
「……エージ先輩!」
震える声で彼を呼ぶと、いつものように振り返る。
だけど暗くて、表情がよく見えない……。ねぇ、今、どんな顔をしているの?
わたしはゆっくりゆっくり近づいて、先輩に一枚のプリクラを差し出した。
信じたくなかった。「ああ、やっぱり人違いだね」って笑いたかった。
なのに――。
「ねぇ、エージ先輩。ウソだよね? そんなわけ……ないよね?」
なのに……小さな四角形の中には、不自然な笑顔のわたしが一人。
その隣にいたはずのエージ先輩の姿はなかったんだ。
それでもやっぱり先輩から聞くまでは、なにも信じないと誓った。
エージ先輩はフッと力なく笑って
「そっか、気づいちゃったんだね」とだけつぶやいた。
なにそれ。
その言葉だけで、もう全部 わかってしまった。……わかりたくなかったのに。
「本当は、このままずっと隠し通しておきたかったんだけど」
「隠し通すって……なに? なんで……意味わかんない!」
だって先輩は今もそこにいる。存在している。
エージ先輩に出会ってから今までのカラフルな日々も、たしかにそこにあったのに。そんなの……おかしいよ。
「……目が覚めたのは、五月頭の早朝だった。この恰好で屋上にいたんだ。最初はなにが起こったのかぜんぜんわからなくって。でも、『あれ? もしかしてオレ、病気が治ったんじゃない⁉』なんて思って、登校してきた知り合いに手あたり次第声をかけたよ。……でも、誰一人としてオレを見てくれなかったんだ」
エージ先輩は悲しそうに目を伏せた。
初めて語られる『エージ先輩のこと』。
ずっと知りたいと思っていたけど、こんなことを聞きたいんじゃなかったんだ。
『黄昏時』と呼ばれるこの時間が、わたしは好きだった。
「……エージ先輩!」
震える声で彼を呼ぶと、いつものように振り返る。
だけど暗くて、表情がよく見えない……。ねぇ、今、どんな顔をしているの?
わたしはゆっくりゆっくり近づいて、先輩に一枚のプリクラを差し出した。
信じたくなかった。「ああ、やっぱり人違いだね」って笑いたかった。
なのに――。
「ねぇ、エージ先輩。ウソだよね? そんなわけ……ないよね?」
なのに……小さな四角形の中には、不自然な笑顔のわたしが一人。
その隣にいたはずのエージ先輩の姿はなかったんだ。
それでもやっぱり先輩から聞くまでは、なにも信じないと誓った。
エージ先輩はフッと力なく笑って
「そっか、気づいちゃったんだね」とだけつぶやいた。
なにそれ。
その言葉だけで、もう全部 わかってしまった。……わかりたくなかったのに。
「本当は、このままずっと隠し通しておきたかったんだけど」
「隠し通すって……なに? なんで……意味わかんない!」
だって先輩は今もそこにいる。存在している。
エージ先輩に出会ってから今までのカラフルな日々も、たしかにそこにあったのに。そんなの……おかしいよ。
「……目が覚めたのは、五月頭の早朝だった。この恰好で屋上にいたんだ。最初はなにが起こったのかぜんぜんわからなくって。でも、『あれ? もしかしてオレ、病気が治ったんじゃない⁉』なんて思って、登校してきた知り合いに手あたり次第声をかけたよ。……でも、誰一人としてオレを見てくれなかったんだ」
エージ先輩は悲しそうに目を伏せた。
初めて語られる『エージ先輩のこと』。
ずっと知りたいと思っていたけど、こんなことを聞きたいんじゃなかったんだ。