太陽みたいなキミだから
 そういえば、なんでわたしだけ先輩を見ることができたのか。
 なんで『わたしを救う』ことで先輩は空に還ることができたのか。
 わからないことはまだたくさんあるけど……もう聞くことはできない。

 はしごを上まで上りきると、そこからの景色はやっぱり別格だった。
 今日はよく晴れているから、遠くの山まではっきり見える。

「あれ……?」

 座ろうとふと下を見た瞬間、あるものが目に入った。
 それは、真っ白い封筒。
 誰かの落とし物? でも、ここに来ることがあるのはわたしと……――。

「……っ!」

 ハッとして、その封筒を手にした。
 心臓がドッドと激しく動く。息が苦しい。まさか、まさか……。
 わたしは、封筒を開けて中に入っていた便箋を空にかざした。






――芽衣へ。
手紙なんて書いたことないから、なんだか照れちゃうな。
変な文章だったら笑ってほしい。
なにから話そうか……芽衣にはまだ言っていないことがあるんだ。

オレと芽衣が初めて会った日。
芽衣は初対面だと思ってただろうけど、実はオレは一方的に芽衣のことを知っていた。
「君は?」なんて聞いてごめん。気味悪がられたくなかったから。

あれは去年の春のこと。オレはある病気になった。
すぐに入院して治療することになって、大好きだったサッカーを辞めなければならなかったんだ。
つらかったよ、すごく。
それまでグラウンドを駆け回ってみんなと一緒に汗をかいてきたのに、もう参加することすらできないんだから。
それでも、病気を治してもう一度グラウンドに戻ろうと考えてたんだ。
だけど……あるとき先生が「オレの病気はもう治らない」って親に話しているのを聞いちゃって。
頭が真っ白になった。


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