太陽みたいなキミだから
一つ……叶うことなら、芽衣に触れたかった。
その髪を優しくなでて「大丈夫だよ」って言ってあげたかった。
その涙をそっとぬぐってあげたかった。
抱きしめて、芽衣を悲しませるすべてのものから守ってあげたかった。
でも、できない。
その役目はきっと、オレじゃないんだね。
ねぇ、芽衣。
オレは芽衣を助けることができたかな。
お願いだから、笑っていてほしい。
芽衣にはあのひまわりのような、明るい笑顔が似合うから。
芽衣に出会えて本当によかった。芽衣が、芽衣でいてくれてよかった。
ありがとう。
伊吹瑛士
――なに、これ。
先輩は最後まで、本当に……ずるい。
もう泣かないって決めたのに。なのに……。
大粒の涙がこぼれて手紙をぬらした。
『笑っていてほしい』
ひまわりのような笑顔……わたしに似合うかな。でも、先輩が言うならきっと。
わたしはスンッと鼻をすすって、涙でぐちゃぐちゃの顔を手で乱暴にこすった。
――泣かない!
先輩がいたしるしをぎゅっと抱きしめる。
すると……。
「あれ……?」
もう一枚、うしろに便箋があることに気づいた。
涙のインクで書いたような薄い文字を、目をこらして読んでみる。
『PS.最後にひとつ、芽衣にプレゼントをあげるね』
たった一文。そんな言葉で締めくくられていた。
プレゼント? プレゼントなら十分もらっている。
これ以上、一体どんな――。
「杉咲……!」
バン! と大きな音がしたかと思うと、階段室のドアから片桐部長が出てきた。
上にいるわたしに気づくと、弾む息を整えながら「やっぱりここにいた」と言う。
部長の額からは大粒の汗。一気に階段を駆け上ったんだろう。
でも……なんで? 部長がわたしになんの用だろう。
その髪を優しくなでて「大丈夫だよ」って言ってあげたかった。
その涙をそっとぬぐってあげたかった。
抱きしめて、芽衣を悲しませるすべてのものから守ってあげたかった。
でも、できない。
その役目はきっと、オレじゃないんだね。
ねぇ、芽衣。
オレは芽衣を助けることができたかな。
お願いだから、笑っていてほしい。
芽衣にはあのひまわりのような、明るい笑顔が似合うから。
芽衣に出会えて本当によかった。芽衣が、芽衣でいてくれてよかった。
ありがとう。
伊吹瑛士
――なに、これ。
先輩は最後まで、本当に……ずるい。
もう泣かないって決めたのに。なのに……。
大粒の涙がこぼれて手紙をぬらした。
『笑っていてほしい』
ひまわりのような笑顔……わたしに似合うかな。でも、先輩が言うならきっと。
わたしはスンッと鼻をすすって、涙でぐちゃぐちゃの顔を手で乱暴にこすった。
――泣かない!
先輩がいたしるしをぎゅっと抱きしめる。
すると……。
「あれ……?」
もう一枚、うしろに便箋があることに気づいた。
涙のインクで書いたような薄い文字を、目をこらして読んでみる。
『PS.最後にひとつ、芽衣にプレゼントをあげるね』
たった一文。そんな言葉で締めくくられていた。
プレゼント? プレゼントなら十分もらっている。
これ以上、一体どんな――。
「杉咲……!」
バン! と大きな音がしたかと思うと、階段室のドアから片桐部長が出てきた。
上にいるわたしに気づくと、弾む息を整えながら「やっぱりここにいた」と言う。
部長の額からは大粒の汗。一気に階段を駆け上ったんだろう。
でも……なんで? 部長がわたしになんの用だろう。