白衣の天使は、悪魔の小児外科医から子どもごと溺愛される
「ちょっと! 仕事中ですから……!」
「根を詰めて、働きすぎだ。少しは休め」
「私だけじゃありませんから……!」
「また敬語になった」
「……ひさ……」
「名字ではなく、名前で呼ぶように」
「……仕事中もなんて、聞いてない」
看護師を抱き上げ、穏やかな口調で話す久松先生の声を聞いた医療従事者達は、すれ違うたびに何事かを歩みを止めた。
数時間後、病院は彼の話題で持ちきりになりそうだ……。
「他人行儀な姿を見るのは、我慢ならなくてな……」
「公私混同しないで」
「これから院長失脚に向けて、本格的に動くつもりだ」
「だから……」
「俺のそばで、見守っていてほしい」
潤んだ瞳で見つめられてしまえば、拒否などできない。
それはこの病院で勤務する医療従事者の、悲願だからだ。
私がいなければやる気にならないと言うのなら、ここは黙って頷くしかない。
「……うん」
「ありがとう。それでこそ、俺の天使だ」
彼は私を抱き上げたまま休憩室に入ると、足を使って器用にパイプ椅子を横一列に並べる。
「寝心地は悪いかもしれないが……」
久松先生は私をそこへ横たえると、長い髪を優しく撫でた。
――彼は大袈裟だ。
少し気分が悪くなっただけで、毎回騒がれては仕事にならない。
ゆっくりと身体を休めている場合ではないのに……。
彼が私の些細な変化に気づいてくれたことが嬉しくて……。
髪を撫でられるとなんだか安心してしまい、眠くなってきてしまった。
「和典、さん……」
「仕事のことは、心配するな。身体を休めることだけに集中しろ」
彼の言葉に後押しされた私は、ゆっくりと目を頭り意識を手放した。
「根を詰めて、働きすぎだ。少しは休め」
「私だけじゃありませんから……!」
「また敬語になった」
「……ひさ……」
「名字ではなく、名前で呼ぶように」
「……仕事中もなんて、聞いてない」
看護師を抱き上げ、穏やかな口調で話す久松先生の声を聞いた医療従事者達は、すれ違うたびに何事かを歩みを止めた。
数時間後、病院は彼の話題で持ちきりになりそうだ……。
「他人行儀な姿を見るのは、我慢ならなくてな……」
「公私混同しないで」
「これから院長失脚に向けて、本格的に動くつもりだ」
「だから……」
「俺のそばで、見守っていてほしい」
潤んだ瞳で見つめられてしまえば、拒否などできない。
それはこの病院で勤務する医療従事者の、悲願だからだ。
私がいなければやる気にならないと言うのなら、ここは黙って頷くしかない。
「……うん」
「ありがとう。それでこそ、俺の天使だ」
彼は私を抱き上げたまま休憩室に入ると、足を使って器用にパイプ椅子を横一列に並べる。
「寝心地は悪いかもしれないが……」
久松先生は私をそこへ横たえると、長い髪を優しく撫でた。
――彼は大袈裟だ。
少し気分が悪くなっただけで、毎回騒がれては仕事にならない。
ゆっくりと身体を休めている場合ではないのに……。
彼が私の些細な変化に気づいてくれたことが嬉しくて……。
髪を撫でられるとなんだか安心してしまい、眠くなってきてしまった。
「和典、さん……」
「仕事のことは、心配するな。身体を休めることだけに集中しろ」
彼の言葉に後押しされた私は、ゆっくりと目を頭り意識を手放した。