白衣の天使は、悪魔の小児外科医から子どもごと溺愛される
「んん……君は……誰……?」
「私が誰かなんて、どうでもいい! できるの!? できないの!?」
「し、知りませんよ! できるわけないじゃないですか! 僕は研修医なんですから!」
「できなくても、やるしかないんですよ!」
当然責任を負いたくない佐野先生は、手術なんて冗談じゃないと寝起きの回らない頭で怒鳴り散らしてくる。
喧嘩なんてしてる場合じゃないのに……!
今だって、私の仲間が必死に患者の命を救おうと手を尽くしているのだ。
私はどんなことをしてでも絶対に、患者の元へ医者を連れて行かなければならなかった。
「ええっ!? 今日の当直、山本先生ですよね?」
「あの人はストレスで、集中できないそうです! 他の人達には連絡すら通じません! あなたしか、いないんです……!」
医者よりも看護師が患者に寄り添ってる病院って、一体どうなってるのよ!?
こんな病院、早く潰れてしまえばいいのに……!
私の瞳からはみっともなく、涙が零れ落ちて止まらない。
「そんな……! そ、その、泣かないで、ください……」
「今は私のことなんて、どうでもいいんです! あなたも看護師の身体目当てなんですか!?」
「は、はい?」
「手術して欲しければ、身体で支払えって……! 一部の医者が、そうやって看護師を脅しているって聞きました! あなたも私に、そう言うのを望んでるんですよね!?」
一部の医者と濁したのは、該当人物の名字が院長と同じだからだ。
院長を悪く言えば、勘違いされて私の首が飛ぶかもしれない。
それだけは、避けたかった。
――久松 和典先生。
院長の息子である彼は、32歳の小児外科医だ。
漆黒の黒髪と冷たい瞳が印象的な彼は、診察時は眼鏡で隠している。
子どもを怖がらせないための、配慮なのかもしれないが……。
優しそうに見えるあの人には、ある悪い噂が病院内で蔓延していた。
手術を依頼した看護師へ、「身体で支払え」と強要してくるのだ。
「私が誰かなんて、どうでもいい! できるの!? できないの!?」
「し、知りませんよ! できるわけないじゃないですか! 僕は研修医なんですから!」
「できなくても、やるしかないんですよ!」
当然責任を負いたくない佐野先生は、手術なんて冗談じゃないと寝起きの回らない頭で怒鳴り散らしてくる。
喧嘩なんてしてる場合じゃないのに……!
今だって、私の仲間が必死に患者の命を救おうと手を尽くしているのだ。
私はどんなことをしてでも絶対に、患者の元へ医者を連れて行かなければならなかった。
「ええっ!? 今日の当直、山本先生ですよね?」
「あの人はストレスで、集中できないそうです! 他の人達には連絡すら通じません! あなたしか、いないんです……!」
医者よりも看護師が患者に寄り添ってる病院って、一体どうなってるのよ!?
こんな病院、早く潰れてしまえばいいのに……!
私の瞳からはみっともなく、涙が零れ落ちて止まらない。
「そんな……! そ、その、泣かないで、ください……」
「今は私のことなんて、どうでもいいんです! あなたも看護師の身体目当てなんですか!?」
「は、はい?」
「手術して欲しければ、身体で支払えって……! 一部の医者が、そうやって看護師を脅しているって聞きました! あなたも私に、そう言うのを望んでるんですよね!?」
一部の医者と濁したのは、該当人物の名字が院長と同じだからだ。
院長を悪く言えば、勘違いされて私の首が飛ぶかもしれない。
それだけは、避けたかった。
――久松 和典先生。
院長の息子である彼は、32歳の小児外科医だ。
漆黒の黒髪と冷たい瞳が印象的な彼は、診察時は眼鏡で隠している。
子どもを怖がらせないための、配慮なのかもしれないが……。
優しそうに見えるあの人には、ある悪い噂が病院内で蔓延していた。
手術を依頼した看護師へ、「身体で支払え」と強要してくるのだ。