白衣の天使は、悪魔の小児外科医から子どもごと溺愛される
妊娠発覚
「妊娠十三週目だそうだ」
目覚めた私は、久松先生から衝撃の事実を伝えられた。
――私が? なんで?
普段の私であれば、あり得ないと笑い飛ばしていただろう。
けれど……。
彼と数か月前に関係を持っている以上、子どもができたことを否定するわけにもいかない。
「……そうですか」
ここ最近の体調不良は、妊娠していたからだったのね……。
母体の安全を守るため、中絶は妊娠初期までが推奨されている。
妊娠中期となると、そう簡単には子どもを下ろすことなどできない。
このまま順調に、お腹の中で育ってくれるなら……。
私はこの子を、一人で生み育てることになるだろう。
「責任を取らせてほしい」
病院を辞めても、一人で暮らしていける貯蓄くらいはある。
子どもを預けられる保育園さえ見つかれば、すぐに働けるはずだ。
彼に養ってもらう理由がない。
「穂波。俺と結婚してくれ」
だから――潤んだ瞳で私を心配そうに見つめてくる久松先生に、どんな言葉を返せばいいのかよくわからなくて……。
「……久松先生は、妻子を養っている場合ではないと思います」
「……何を言っている」
「松ヶ丘総合病院は今、新しく生まれ変わろうとしています。あなたは新たな院長として、患者のことを最優先に考え行動するべきです。私とこの子は、足手まといにしかならない」
「足手まとい? まさか! やっとの思いで手に入れた天使が俺の元から羽ばたくことを、許すわけがないだろう」
「私はあなたの妻にはなれません」
「穂波……!」
ちょうどいい機会だ。
この場で辞表を叩きつけて、誰も知らない土地でこの子を出産しよう。
私とお腹の中にいる子どもがそばにいたら、この病院に君臨し続けることができなくなる。
目覚めた私は、久松先生から衝撃の事実を伝えられた。
――私が? なんで?
普段の私であれば、あり得ないと笑い飛ばしていただろう。
けれど……。
彼と数か月前に関係を持っている以上、子どもができたことを否定するわけにもいかない。
「……そうですか」
ここ最近の体調不良は、妊娠していたからだったのね……。
母体の安全を守るため、中絶は妊娠初期までが推奨されている。
妊娠中期となると、そう簡単には子どもを下ろすことなどできない。
このまま順調に、お腹の中で育ってくれるなら……。
私はこの子を、一人で生み育てることになるだろう。
「責任を取らせてほしい」
病院を辞めても、一人で暮らしていける貯蓄くらいはある。
子どもを預けられる保育園さえ見つかれば、すぐに働けるはずだ。
彼に養ってもらう理由がない。
「穂波。俺と結婚してくれ」
だから――潤んだ瞳で私を心配そうに見つめてくる久松先生に、どんな言葉を返せばいいのかよくわからなくて……。
「……久松先生は、妻子を養っている場合ではないと思います」
「……何を言っている」
「松ヶ丘総合病院は今、新しく生まれ変わろうとしています。あなたは新たな院長として、患者のことを最優先に考え行動するべきです。私とこの子は、足手まといにしかならない」
「足手まとい? まさか! やっとの思いで手に入れた天使が俺の元から羽ばたくことを、許すわけがないだろう」
「私はあなたの妻にはなれません」
「穂波……!」
ちょうどいい機会だ。
この場で辞表を叩きつけて、誰も知らない土地でこの子を出産しよう。
私とお腹の中にいる子どもがそばにいたら、この病院に君臨し続けることができなくなる。