不器用な総長は元アイドルの姫を一途に愛したい
「……何の用ですか? いきなり来るとか……迷惑です。速水さんが納得してくれないから連絡を絶ったんですよ? わざわざここまで来たって事は、ようやく納得してくれたって事ですか?」
速水を前に恵那は毅然とした態度で問い掛ける。
これには斗和も忍も口出し出来ないので、黙って行方を見守った。
「……恵那の気持ちは分かってるつもりだ。だからこそ、その事で社長とは何度も話し合った」
「話し合い? そんなの無駄よ。社長は利益の事しか考えてない! 思い通りにならないアイドルはいらないのよ!」
「確かに、そうかもしれない。けど、今、うちの事務所はだいぶ危うい状況になって、社長も心を入れ替えた。それに伴って、CANDY POPは解散する方向で話が進んでる。解散したら、恵那はソロで活動すればいい。ファンレターも、沢山届いているんだよ? 恵那、もう一度戻って来てはくれないか? 今度は、以前みたいな辛い思いはさせないから」
「……何それ……、私は……もう……」
「恵那、もう一度だけ、よく考えて欲しい。頼む!」
戸惑う恵那に頭を下げて頼み込む速水。
二人のやり取りを黙って見守っていた斗和は、
「恵那、とりあえずコイツの言う通り、一度落ち着いてよく考えてみたらどうだ? 今ここでハッキリ断れないって事は、少なからず未練があるって事なんじゃねぇの?」
斗和の言う通り、恵那の心の片隅には、アイドル活動への未練があった。
作った自分を演じるのは好きじゃ無かったけれど、ありのままを出せるアイドル活動なら続けたかったという思いが。
「……恵那、頼むよ。もう一度だけ考えてみてくれ。それとこれ、恵那が活動を休止してる間に届いたファンレターだ。目を通して、ファンの想いを知った上で、結論を出して欲しい」
足元に置いていた大きな段ボールを抱えて恵那へ差し出した速水。
それを、俯いたままの恵那の代わりに斗和が受け取った。
「恵那、一旦家帰って、よく考えろ。な?」
「…………分かった」
「速水さん……だっけ? とりあえずもういい? いきなりの事で恵那、動揺してるし。どうするか決まったらきちんと連絡させるから」
「……そうか、分かった。出来れば、早めに答えが欲しい。恵那、いきなり来て悪かったね。それじゃあ、今日はこれで失礼するよ」
そして、斗和に促された速水は渋々ながらに納得すると、何も答えない恵那に再度声を掛けた後、斗和や忍に軽く会釈をして去って行った。
速水を前に恵那は毅然とした態度で問い掛ける。
これには斗和も忍も口出し出来ないので、黙って行方を見守った。
「……恵那の気持ちは分かってるつもりだ。だからこそ、その事で社長とは何度も話し合った」
「話し合い? そんなの無駄よ。社長は利益の事しか考えてない! 思い通りにならないアイドルはいらないのよ!」
「確かに、そうかもしれない。けど、今、うちの事務所はだいぶ危うい状況になって、社長も心を入れ替えた。それに伴って、CANDY POPは解散する方向で話が進んでる。解散したら、恵那はソロで活動すればいい。ファンレターも、沢山届いているんだよ? 恵那、もう一度戻って来てはくれないか? 今度は、以前みたいな辛い思いはさせないから」
「……何それ……、私は……もう……」
「恵那、もう一度だけ、よく考えて欲しい。頼む!」
戸惑う恵那に頭を下げて頼み込む速水。
二人のやり取りを黙って見守っていた斗和は、
「恵那、とりあえずコイツの言う通り、一度落ち着いてよく考えてみたらどうだ? 今ここでハッキリ断れないって事は、少なからず未練があるって事なんじゃねぇの?」
斗和の言う通り、恵那の心の片隅には、アイドル活動への未練があった。
作った自分を演じるのは好きじゃ無かったけれど、ありのままを出せるアイドル活動なら続けたかったという思いが。
「……恵那、頼むよ。もう一度だけ考えてみてくれ。それとこれ、恵那が活動を休止してる間に届いたファンレターだ。目を通して、ファンの想いを知った上で、結論を出して欲しい」
足元に置いていた大きな段ボールを抱えて恵那へ差し出した速水。
それを、俯いたままの恵那の代わりに斗和が受け取った。
「恵那、一旦家帰って、よく考えろ。な?」
「…………分かった」
「速水さん……だっけ? とりあえずもういい? いきなりの事で恵那、動揺してるし。どうするか決まったらきちんと連絡させるから」
「……そうか、分かった。出来れば、早めに答えが欲しい。恵那、いきなり来て悪かったね。それじゃあ、今日はこれで失礼するよ」
そして、斗和に促された速水は渋々ながらに納得すると、何も答えない恵那に再度声を掛けた後、斗和や忍に軽く会釈をして去って行った。