不器用な総長は元アイドルの姫を一途に愛したい
「流石斗和さん! 恵那さんみたいな美少女が彼女とかすげぇ憧れます!!」
「これから恵那さんはプリュ・フォールの『姫』っすね!」
「俺らも全力で守ります!」
「任せてください!」

 斗和から改めて交際宣言を聞いたメンバーたちは、嬉しそうに祝福の言葉を述べると共に、総長の彼女でもある恵那はプリュ・フォールの『姫』だと口にする。

「姫? 私が?」

 何故そう呼ばれるのかよく分からない恵那が斗和に問い掛ける。

「あー、まあ、誰が決めたかは知らねぇけど、族の中で総長の彼女っていうのは『姫』って呼ばれてるんだよ。プリュ・フォールには無縁な事だと思ってたから別に気にもしなかったけど……」
「そうなんだ……その、無縁な事って思ってたのは、何で?」
「そりゃその、俺が女と付き合う気は無かったからだよ……って、言わすなよ、そんな事!」
「ごめん……」

『姫』と呼ばれる事は恥ずかしいものの、斗和の彼女になれた実感が湧いてきて嬉しくなる恵那。

「まあ、メンバーにはこれからも名前で呼ばせりゃいいからな、呼び方については問題ねぇけど……他の奴らはそうは思わない。クロスの連中もそうだし、俺らをよく思わねぇ連中は他にもいるから、そういう奴らにとって恵那の存在は都合が良い」
「……狙われるって事?」
「ああ、そうだ」

 斗和と付き合う、そう決めた段階で危険がある事は分かっていたつもりの恵那だけど、いざはっきり言葉にされると少なからず恐怖心も生まれてくる。

 それでも恵那は、

「怖いけど、でも大丈夫! 斗和の彼女だもん、いちいち怯えてなんていられない! みんなの迷惑にならないよう、気を付けるね」

 斗和が気にしないよう、努めて明るく振る舞った。

「ああ、けどお前は絶対、俺が……俺らが守るから、安心しろ」
「頼りにしてるよ。あ、でも私も少しは自分の身を守れるようになりたいなぁ、護身術とか習おうかな?」
「まあ、それは必要かもな。簡単なものなら俺が教えてやるよ」
「本当? ありがとう!」

 健気な恵那を前にした斗和は必ず守り抜く事を胸に誓い、やり取りを見ていたプリュ・フォールのメンバーたちもまた、幸せそうな二人をサポートしていこうとそれぞれ胸に誓いを立てていた。
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