不器用な総長は元アイドルの姫を一途に愛したい
「んなの、放っておきゃ治るって」
「駄目だってば。ほら、見せて!」
「ッ痛ぇな、手当てすんなら、もっと優しくしろよ」
「あ、ごめん」
必要無いと言い張る斗和の腕を半ば強引に掴んだ恵那が袖を捲ると、服に隠れていた腕の傷は、だいぶ深そうだった。
擦り傷というより切り傷みたいなその痛々しいそれに、思わず目を覆いたくなる恵那。
「消毒液は滲みそうだから、水で洗い流す方がいいかも……」
言って恵那はもう一つのミネラルウォーターのペットボトルを開けると、斗和の傷口に水を流していく。
「――ッ」
「ご、ごめん、滲みた?」
「平気だから、続けて」
「う、うん……」
そして、擦り傷には軟膏を塗り、傷全体を覆えるよう、包帯を一生懸命巻いていく。
「……とりあえず、これは応急処置って事で……ちゃんと病院で手当てして貰ってね?」
「…………ああ」
ちょっと不恰好な包帯の巻き方ではあるけれど、ひとまず傷口を覆えた恵那は満足して、他の部分にある擦り傷にも軟膏を塗っていく。
「あ、氷も持ってくれば良かったね……頬の腫れ、冷やした方がいいのに……」
そして、殴られたのか酷く腫れた頬に視線を移した恵那は、氷を持ってきて冷やした方が良かったと小さく項垂れた。
「良いって。こんなん良くある事だし。いちいち気にしてらんねぇよ」
気落ちしている彼女を励まそうと言葉を掛けた斗和だったのだけど、その言葉は恵那をより一層悲しませただけだった。
「何だよ、そんな顔すんなよ」
「ご、ごめん……」
「つーか謝り過ぎ。お前が悪い訳じゃねーんだからすぐに謝んなよ」
「ごめん……あ、えっと……うん……」
「……はぁ、まあいいや。手当サンキューな」
「ううん、どういたしまして」
何とか励まそうとしてみた斗和だったのだけど、人と――というか異性と関わる事があまり無い斗和はどう言葉を掛ければいいのか分からず、手当のお礼を口にすると、恵那の表情に少しだけ笑顔が戻り安堵する。
「駄目だってば。ほら、見せて!」
「ッ痛ぇな、手当てすんなら、もっと優しくしろよ」
「あ、ごめん」
必要無いと言い張る斗和の腕を半ば強引に掴んだ恵那が袖を捲ると、服に隠れていた腕の傷は、だいぶ深そうだった。
擦り傷というより切り傷みたいなその痛々しいそれに、思わず目を覆いたくなる恵那。
「消毒液は滲みそうだから、水で洗い流す方がいいかも……」
言って恵那はもう一つのミネラルウォーターのペットボトルを開けると、斗和の傷口に水を流していく。
「――ッ」
「ご、ごめん、滲みた?」
「平気だから、続けて」
「う、うん……」
そして、擦り傷には軟膏を塗り、傷全体を覆えるよう、包帯を一生懸命巻いていく。
「……とりあえず、これは応急処置って事で……ちゃんと病院で手当てして貰ってね?」
「…………ああ」
ちょっと不恰好な包帯の巻き方ではあるけれど、ひとまず傷口を覆えた恵那は満足して、他の部分にある擦り傷にも軟膏を塗っていく。
「あ、氷も持ってくれば良かったね……頬の腫れ、冷やした方がいいのに……」
そして、殴られたのか酷く腫れた頬に視線を移した恵那は、氷を持ってきて冷やした方が良かったと小さく項垂れた。
「良いって。こんなん良くある事だし。いちいち気にしてらんねぇよ」
気落ちしている彼女を励まそうと言葉を掛けた斗和だったのだけど、その言葉は恵那をより一層悲しませただけだった。
「何だよ、そんな顔すんなよ」
「ご、ごめん……」
「つーか謝り過ぎ。お前が悪い訳じゃねーんだからすぐに謝んなよ」
「ごめん……あ、えっと……うん……」
「……はぁ、まあいいや。手当サンキューな」
「ううん、どういたしまして」
何とか励まそうとしてみた斗和だったのだけど、人と――というか異性と関わる事があまり無い斗和はどう言葉を掛ければいいのか分からず、手当のお礼を口にすると、恵那の表情に少しだけ笑顔が戻り安堵する。