残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。
「そういうのいいから……早く車出して」

「もうちょいイチャイチャしましょうよ~」

「アンタとイチャイチャしてた覚えはない」


私がそう言うと『え?』みたいな顔をして、ルームミラー越しに私を見ている西嶋。

それに若干イラッとしつつ、もう目を合わせたくなくて目を瞑った。


「では、出発しますね」

「お願いします」

「……ククッ」


クスクス笑いながら車を発進させた西嶋。

『なに、どうしたの?』なんて聞かない。


「ああ、なんでこうも可愛いかな。これだから辞められないんですよ、藍里さんの世話役。僕の心を掴んで離してくれないんですもん。小悪魔ちゃんだなあ」


いつもこんなような戯れ言をペラペラと抜かしている。


「聞いてます?藍里さん」

「……」

「寝ました?」

「……」

「寝ちゃったかぁ」


私が寝てないのなんて分かってるくせに。


「襲うなら今が絶好のチャンスってことかな?」

「死にたいならどーぞ」

「ハハッ。起きてるじゃないですか」

「無駄に絡んでくるのやめてくれない?」

「無駄とは?」


『無駄に絡んだことなんてありませんよ?』みたいな顔をして、平然としてるのやめて。

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