残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。
そう言いながら私の髪をワシャワシャ撫で始めた西嶋。

・・・・はぁぁ。今日も今日とて溺愛(?)というか、なんというか……。なんなんだろう、これは。


「よ~しよしぃ。可愛い可愛い~」


──── 妹や娘を通り越して“犬”になってない?私の扱い。


「大好きです。藍里さん」


西嶋の『大好き』はLOVEではなくLIKE。

そんなことはもう、分かりきっている。


「ハイハイ」

「藍里さんは?」

「ダイスキダイスキーー」

「ハハッ。相変わらず感情が籠ってないですね」


──── そんなのお互い様でしょ。


「そんなのお互いっ……」

「僕はこんなにも愛しているのに」


ボソボソッと私の耳元で囁いた西嶋。

いつもと違うシチュエーションだからか、いつも以上にドキドキしてしまう。


「何やってんすか。お嬢と楓」


私は西嶋の御尊顔を鷲掴みして、床下に沈める勢いで押しながら、ちゃっかり水着も回収して立ち上がった。


「西嶋が転んで私も道連れにされたのよ。ほんっと迷惑な男よね~。ハハハ。で、雲野さん元気?」


雲野さんが私の後ろに視線をやって、“めんどくせぇー”みたいな顔をしながら頭を軽く下げた。

< 17 / 27 >

この作品をシェア

pagetop