残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。
──── 極道一家のもとに生まれ、みんなに愛されながら大切に育てられた私……小柳 藍里(こやなぎ あいり)は、今日も今日とて残念すぎるイケメンに絡まれています。
「おはようございます」
目が覚めて妙な温もりと視線を感じ、開けたくもない目を仕方なく開けた。
──── でしょうね。
「……お前、なんで私の布団の中にいるわけ?」
「ハハッ。そんな野暮なことをお聞きになってどうするんです?」
顔面偏差値が基準値を大いに振り切って、“奇跡の産物”と言っても過言ではないほどのイケメンが、私の目の前にいる……というか、添い寝をしている。
「勝手に入ってくんなって何回言えば分かるわけ?いい加減にして」
「僕が入ってきたことに気付かない藍里さんが悪いでしょ」
「入ってくる方が悪いに決まってんだろ」
「やれやれ」
“どうしようもない人だなぁ”みたいな顔をして私を見るな。どう考えても、どうしようもないのはお前の方だっつーの!!
「さっさと退け」
蹴っ飛ばしてベッドから落とすと、床に転がりながら満面の笑みを浮かべて私を見ている。
──── 嬉しそうにすんな、気持ち悪い。
「今日も1日頑張れそうです」
「……ああ、そうですか。良かったですね」