残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。
後ろから突然腕を引っ張られて、バランスを崩した私は後方へよろける。

それを受け止めたのは、私の腕を引っ張った張本人である西嶋だった。


「な、なによ。急にビックリするじゃん」

「申し訳ありません」


──── 私を見ているようで見ていない西嶋の目が……死んでいる。


いや、死んでいるって言うか……ブチギレてる!?

待って、待って、待って!!何々!?どこで、なにで、その般若スイッチがONになった!?

般若(西嶋)が私の頭をポンポンと撫でて、何故か組員達のもとへ向かう。

・・・・ヤバいヤバいヤバい。

何かが西嶋の逆鱗に触れたっぽい。


「おいゴルァァ!!藍里さんの通る道に石っころ落ちてんじゃねえか!!」


────── ハイ?


チラッと私の行く先に目をやると、確かに石が落ちている……そう、ただの石が。


「すっ、すいやせん!!」

「あ"?藍里さんが躓いて転んだらどうすんだ?」


いや、そんなんで躓かないし、転んだりもしないんだけど。

私をなんだと思ってるの?お前は。


「ヒィッ!?す、すいやせん!!」

「てめぇら……指出せ。全部へし折ってやるよ」


────── 待て待て待って!!なんっでそうなるの!?

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