暗闇の星屑、夜明けの太陽 〜番外編〜
「セイ、何時頃帰る?」



ハルがスマホを見ながら言った



「あ…誰か来るカンジ?」



「うん…」



「なに?
オレいるとダメ?」



「ダメ」



「隣の部屋にいるけど…」



「寝室はまだ組み立ててない棚とかあって…」



「あ、もしかして…女?」



「や…」



「隠さなくてもいいじゃん
紹介してよ
挨拶したら帰るから…」



「悪いけど
帰ってほしい」



「あー、こんな弟いるの知られたくないか…」



「そう言うわけじゃない
来るの…月島だから…」



「月島…?月島って?
え…ツキ…ちゃん…?
なんで?なんで、ツキちゃん!?」



「だから、帰ってほしい
できれば会わせたくない」



「オレ謝るよ
ちゃんと謝るから…」



「セイは
月島の名前も覚えてないかもしれないけど
月島はセイのこと本気で好きだった
だから…会ったら
気持ちがまたもどるんじゃないか心配で…」



「そんなわけ…」



心配…?



ハル

ハルが独り暮らししたのって…



ツキちゃんをオレに会わせないため?



アパートに来る仲って
教師と生徒じゃないよね?



「付き合ってんの?」



「いや…まだ…
お母さんには挨拶したけど…」



「挨拶?」



挨拶って新年か結婚しかなくね?



「4月になったら付き合う
一応、3月いっぱいは生徒だから…」



真面目か!



「そんなこと言っても
やるとこやってんでしょ!
あの子、スタイルいいよね…」



「…」



あー、ヤバい

この話は終わろう

ハルの様子を見て悟った



ハルってそんな真面目だった?

こんなノリ悪かった?



中学、高校は
何組の誰が可愛いとか
何部の誰が胸が大きいとか

一緒に話してたのに…



あー…

それだけツキちゃんのこと本気なのか



よかった

ツキちゃんとヤラなくて



確か最後までやってないけど

確かに胸は大きかった



ハルがスマホを見てソワソワし始めた

もぉ来るんだ



「わかった、そろそろ帰る」



「うん
今度来る時は連絡してから来て」



「もぉここには来ないから安心して
ふたりの邪魔はしない」



「別に邪魔だなんて…」



「落ち着いたら実家帰ってこいよ
彼女連れてきてもいいよ
兄の女に手出すほど女に困ってないから
安心して」



「うん、落ち着いたら帰るよ」



「お幸せに…」



ハルならきっと幸せになれる

あの子もきっと幸せにしてもらえる



あ、もしかしてオレのおかげ?
なんて調子に乗って言ったら

いくら温厚なハルでも殴るかな?



たぶんめちゃくちゃ優しい顔で
笑うだろうな

少年みたいに



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