暗闇の星屑、夜明けの太陽 〜番外編〜
「ねー、ハルちゃんこっちのダンボール開けるよ」



「あー、それは仕事のだからいいよ
こっちやってもらえる?」



春休み中になんとか片付けなきゃな

月島と出掛けたい気持ちもあるけど
余裕ないな



「あ、これアルバムかな?
ハルちゃんの?
見てもいい?」



「あ…それ…勝手に見るな」



「ハルちゃん赤ちゃんだ」



月島はオレを無視して
アルバムを開いた



オレが産まれた時からのアルバム



「…いつもふたりだね

当たり前か…

双子だもんね…」



オレの双子の弟
星(せい)のことを
月島は好きだったことがある



後に担任のオレと
双子だってわかったわけだけど



セイとオレは双子だけど
全く似てない



産まれた時は瓜ふたつ

高校まで学校も部活もずっと一緒だった



セイが急に高校を中退して
ホストになったところから
どんどん掛け離れていった



「コレ、どっちがハルちゃん?」



「コレは…こっち…」



どっちがハルちゃん?で少し安心した

月島が弟の名前を呼ばなくて



「スゴイ!よくわかるね
あ…コレはこっちがハルちゃんだよね」



「うん」



「コレはこっち…」



「うん」



「あ!エミちゃんもいる!
入学式かな?
かわいい
ハルちゃんは青いランドセルの方でしょ」



「うん、よくわかるね」



「わかるよ
好きな人だから…」



月島はアルバムを見たまま言った



でも逆を返せば
セイじゃない方がオレだから…

月島の目線を気にしてしまう

月島がセイを見てないか



月島はまだ弟に未練があるんじゃないか

疑ってしまう



「高校の卒業式は
ハルちゃんとエミちゃんふたりだね」



「うん
セイは中退したからね」



「そっか…
この時、今の私と同じ年ってことだね!」



「そう考えると不思議だな」



「うん
この時、エミちゃんと付き合ってたんだね」



「あー…」



月島がエミちゃんと呼ぶ女性は
オレとセイの幼馴染で
月島の小学校の時の担任



オレとエミは
高校を卒業する頃から
最近まで付き合ってた

月島はそれも知ってる



付き合ってたって言っても
ふたりの間に恋愛感情はあったのかな…



「ハルちゃん、この写真ほしい!」



月島が手に取った写真を
恐る恐る覗いたら

オレひとりの写真で酷く安心した



「そんなのもらってどーすんだ?」



「可愛いから…」



そう言う月島の方がずっと可愛い



「ネットとかに拡散するなよ」



「しないよ!
お礼に手伝い頑張るから…」



「じゃあ、よろしく」



「ありがとう
こっちのダンボール服みたいだから
畳んでクローゼット入れるね!」



「ありがとう、助かる」



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