暗闇の星屑、夜明けの太陽 〜番外編〜
ハルちゃんオヤスミナサイ



今日は電話を我慢したよ

寝てしまえば朝になる



明日は誕生日前夜祭だから
電話してもいいかな…



2日もハルちゃんの声聴かないなんて
無理!

死んじゃう



オヤスミナサイ

早く明日になって…



ブーブー…



〔ハル〕



え!ハルちゃんから着信

何かの間違え?

出たら切れるパターン?



ブーブー…



出ちゃうよ



「もしもし…」



「あ、寝てた?」



「んーん、寝てない!
ぜんぜん寝てない!
どーしたの?」



ベッドの上で飛び起きた



「今日、電話なかったから…
どーしたのかな…って思って…
なんか、具合悪いとか?」



「ぜんぜん元気!」



「元気そうでよかった
サークルどおだった?
昨日迷ってたじゃん」



「入る事にした
来週、歓迎会あるって」



「そっか…よかったな
カッコイイ先輩でもいたの?」



「友達はカッコイイって言ってた」



「友達は…って…」



「なに?」



「これからさ
いろんな出会いがあると思うけど
後悔なく楽しんで欲しいな…って…」



どんな意味?

意味深



「ハルちゃんは?
新しい学校慣れた?」



「いや…まだ慣れない」



「かわいい子いる?」



「かわいい子いても別に…」



そーだよね
ハルちゃんは生徒に手を出さない



「じゃあ、綺麗な先生は?」



「綺麗な先生…いたかな…」



「歓迎会はいつ?」



「明日かな…」



「え!明日?」



ハルちゃんやっぱり忘れてる?

私の誕生日



「うん
あ、だから明後日は大丈夫だよ」



あ、覚えてるんだ



「うん、それは…」



「覚えてる?」



もちろん!



「覚えてるよ!
自分の誕生日だもん」



「そーだよな…
来れたらでいいよ」



なに、それ…

キスしといて返品とかナシだから!

あのキスが何か減点だった?

半目だったかな?私



「行かなくてもいいの?」



「んー…それもアリ」



え、私また誕生日にフラれるの?

トラウマ



行かないでフラれないまま終わる

自然消滅というやつね



どっちがいい?

どっちも嫌!



大切にするって言ってくれたくせに!

ハルちゃんの卑怯者



「じゃあ、考えとく」



本当は『絶対行く!』の1択しかない



「来てくれたら頑張るけど…」



「え!」



「オレは…会いたい」



「え!」



ハルちゃんが「会いたい」って言った

言ったよね?



「なんか、電波悪いみたいだから切る」



「え…」



「じゃあ…オヤスミ」



「え…あ…オヤスミナサイ」



電波は悪くない

言葉が出てこなかった



ちゃんと聞こえてたよ

ハルちゃんの「会いたい」



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