暗闇の星屑、夜明けの太陽 〜番外編〜
「たいしたことできなかったけど…」



ハルちゃんが冷蔵庫からケーキを出してきた



「わぁ!ケーキ?」



苺がいっぱいのってて
19のローソク

それから…



たんじょうびおめでとう
イズミ



チョコに書かれたメッセージ



月島じゃなくて
「イズミ」って書かれてる



甘い匂いはケーキの匂いだったんだ



「ハルちゃんが作ったの?」



「うん、まーね…
結構頑張った」



ハルちゃんがカーテンを閉めて
ローソクに火をつけた



19に火が灯る



去年の誕生日は最悪だったな…

その日にキラに出会った



でもあの日がなかったら
私はきっとハルちゃんとこうなってなかった

ハルちゃんもエミちゃんと
別れてなかったかもしれない



「19歳
おめでとう、イズミ」



「ハルちゃん、イズミって呼んでくれた」



「うん、だいぶ頑張った
そこ1番頑張ったとこかも…」



今年はフラれなかった



「嬉しい
ありがとう」



「うん
喜んでくれたなら、オレも嬉しい

ローソクの火消して…」



「なんかもったいない」



「また来年も作るから…」



「来年も作ってくれるの?」



「あ、ネタバレしちゃったな」



「嬉しい
来年もハルちゃんの隣にいれるんだ」



「いて欲しい」



「いるよ
あ、ローソク消えそう…」



フー…の口をしたら



ーーー



ハルちゃんにキスされた



「ん…消せなかった」



「ごめん…可愛かったから…」



1のローソクが消えて少し暗くなった



「あ、消えちゃった」



ーーーーー



またキスされた



9のローソクも消えて
真っ暗になった



「好きだよ…イズミ…」



暗い部屋にハルちゃんの声が響いた



「ありがと…
来年もケーキ楽しみにしてるね」



「うん」



ーーー

ーーーーー



「ハルちゃん
呼び方…まだなれなくて
なんか、くすぐったい」



「それ言うな
オレが恥ずかしくなる」



キスしてる間
ハルちゃんはずっと手を繋いでくれてた



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