彼女が服を着替えたら
何を言われたか一瞬分からずにいると、
机の引き出しから出したチョコの銀紙を向くと
目の前に差し出してきた


「と、東井さん?」

『口開けて?今誰もいないし。』


それは今は休憩時間だから分かるけど、
こんなところでチョコレート食べさせてもらう
部下ってどうなの?


『ほら、早くしないと溶ける。』

うっ!


前よりも色気が増している東井さんが、
ニヤッと笑ったので、仕方なく近づいて
小さく口を開けた。


『美味しい?』


嬉しそうに笑う相手に多分顔が赤くなった
ままで何度か頷くと、立ち上がった東井さんに
唇を奪われて口内を舌が勢いよく動いていく


「ンッ!!‥‥」


な、な、なに?
口の中にまだほんのり残るチョコのかけらが
甘く残るものの、キスしてきた東井さんに
少しだけ涙目で訴える


職場でこんなことするなんて‥‥


『ごめん‥‥午前中ちょっと疲れたから
 奈央で充電した。』


えっ?


笑ってるけどどこか辛そうに見えた
東井さんの手が、初めて会った時のように
優しくポンポンと撫でてくれる
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