彼女が服を着替えたら
『奈央!?』

「‥‥怖かっ‥‥ごめっ」


『謝らなくてもいいよ。
 とにかく無事でよかった‥‥
 もう今日は危ないからうちに泊まって?
 明日の着替えだけ取りに行こう?
 部屋まで一緒についてくから』


ハル‥‥‥


しっかりと私の肩を抱いたまま
ゆっくり部屋まで行き玄関を開けて入ると、
一気に安心したのか、そのままハルに
思い切り抱きついた。


悠介が何故来たのかわからないけど、
私に対して用があったのは確かだ。


会いたかったから‥って
既婚者が異性に軽々と言う時点で
おかしいし、そもそもこんな夜に
待ってることが怖すぎる。


『大丈夫だから準備しておいで。
 ここにいるから。』


「‥‥ん、ありがとう‥ハル」


おでこにそっと触れた唇が、
頬に触れると、涙の痕を指がなぞって
優しく唇を甘噛みしてくれた。
< 116 / 169 >

この作品をシェア

pagetop