彼女が服を着替えたら
『そう?じゃあそうさせてもらうわ。』


えっ?
ええっ!?


社長の声のトーンや態度にも驚いたのに、
真横の恋人の態度も急に一変して
思わずポカンと口が開いたまま
隣を見上げてしまう


『プッ‥‥アッハッハ!!
 晴臣、何なの?その彼女のアホっ面!!』



ア‥‥アホ?


子供みたいにお腹を抱えて
ケラケラ笑う社長に
力が入っていた肩の力が抜けて
その場にストンと座ってしまった


ちょっと待って?


この人ってこの大企業の社長だよね?


もっとうちの社長って、威圧感あって
接するのも緊張してしまう人だと
思ってたのに本当に社長?


『和、いい加減にしろ。
 そして彼女にアホって言ったことを
 今すぐ謝れ。』


『ハハッ‥ごめんごめん、甲斐田さん。
 思わず本音が‥‥あ』


『和!』


「と、東井さん、だ、大丈夫ですから。」


 それにしてもそんなに涙を出して泣くほど
 面白い顔してたのかな‥‥
 そっちの方が不安になるんだけど‥‥。



 それに今‥‥
 彼女って社長にはっきり言ったよね!?


 どうしよう‥‥いきなり
 カミングアウトしてしまうなんて‥‥


『ハァ‥‥お腹痛い‥‥。
 甲斐田さん、初めましてだね。
 晴臣の兄の和隆(かずたか)です。』


「‥‥えっ!?」

< 131 / 169 >

この作品をシェア

pagetop