彼女が服を着替えたら
『はぁ‥‥ごめん、奈央。
 面倒くさくなるのが嫌で黙ってたけど、
 俺の兄なんだよ、ここの社長』


腕を引っ張られ立たせてもらうと
頭をポンポンと撫でながら優しく笑うハル。


でもその裏腹に今だに
頭の中は思考が止まったままである


ハルは社長の弟ってことだよね?

社長はハルのお兄さん‥‥


えっ!!?
じゃあハルってなんで物流で作業着着て
働いてるの?
ここで働くべきなんじゃないの!?


自分がそんなすごい人と
普通に付き合ってたのが恐ろしくなった


『おい、奈央?‥‥奈央!』


「‥‥あっ‥ご‥ごめん、
 ビックリし過ぎて‥‥」


社長と言えど、家族に会いに来たのなら
ハルがリラックスしてたのも納得できる。


それによく見たら顔立ちも綺麗だし、
二人とも背も高いしスーツが似合うし、
兄弟って言われたらそうかもって
思えてしまう。


『甲斐田さんリラックスリラックス。
 それで、晴臣は俺になんの頼みな訳?』


目の前のソファに座る社長が、
前のめりになり、ワクワクした顔で
私とハルを交互に見ている


なんか‥‥社長なのに
緊張感が全くないなぁ‥この人。
言い方が悪いけどお兄さんなのに、
弟みたいに見えてしまう



『奈央と一緒に住みたいから、
 あのマンション出ようと思ってる』


えっ?
 
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