彼女が服を着替えたら
昨日考えてたことをハルも考えてくれてた‥


7年あそこで勤めてきて、
みんなとの関係を拗らせたりするのも
かなり不安だし、正直辞めたくない。


人付き合いが苦手で選んだ場所だけど、
カミングアウトして働くとなると、
噂とか周りの視線はどうしても避けられない


「‥‥私もハルとずっといたいから
 ハルの意見に賛成したい。」


職場が離れても、
帰る場所が同じ‥‥
それだけでもじゅうぶん幸せだから。



こうなることは昨日の時点で
なんとなく覚悟していたけど、握ってくれた
手があったかくて大丈夫って思えたのだ。


ほっとしたように笑うハルに私ももう一度
手を握り返して笑いかける


こんな時でも、私のことを一番に
考えてくれる人の手をずっと
離したくない‥‥


『んんっ!ちょっとお二人さん、俺のこと
 完全に忘れてますよね?』


ドキッ

 
前のめりで私たちを交互に見て
ニコリと笑う社長に恥ずかしくなるも、
握られた手は離してもらえずそのままだ



『あのさ?晴臣が彼女を俺にちゃんと
 紹介してくれたのは甲斐田さんが
 初めてだよ‥だから
 これからも晴臣のこと頼むね。』


頼むなんて‥‥
私の方がハルに甘えてばかりなのに‥‥


「‥はい、約束します。」
 
 
隣に居てくれる人の笑顔に
泣きそうになるのを堪えながらも、
幸せにしたい‥‥そう思えた。

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