彼女が服を着替えたら
簡単に部屋を綺麗にしてから外に出ると、
夏が近いのか朝の時間でも気温や湿度が
だいぶ増してきたように感じる


「おはようございます。」



作業着に着替え終えた私が倉庫内に行くと、
いつもは東井さんがいた場所に
渡会さんが座っていた。


同じ男性なのに後ろ姿もハルと全く違う‥‥


当たり前のことなのに、もうここにいない
ハルの姿を重ねてしまうのは私の悪い癖だ。


『甲斐田さん、おはよう。』


「おはようございます、主任」


渡会主任は笑顔が素敵な人だと思う‥‥
カッコいいんだけど可愛い感じもするほど
やっぱり中世的な魅力もある。


慎さんも中世的でカッコいいけど、
背も高いし体もハルのように鍛えてるから
また主任とは少し違う




新しい環境で多分一番大変なのは主任なのに、いつも他の社員に笑顔で接してくれている。



『今日は納品多いし、他社製品のピッキングも
 多いから間違えないよう
 よろしくお願いします。』


「はい、頑張ります。」


笑顔でペコリと頭を下げると、
渡会主任もまた嬉しそうに笑ってくれた。


「主任も無理しないでくださいね。
 みんないますから頼ってください。」


もう一度頭を下げてから帽子を被り
持ち場へ行こうとしたら、後ろから
腕をグイッと引っ張られた。


『あっ‥‥つい‥‥‥
 ありがとうございます。甲斐田さんに
 何かあったら聞きますね。』


掴まれた腕をパッと離されると
また笑顔で笑った主任に私も笑顔で返した。
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