彼女が服を着替えたら
どんなに笑顔でもやっぱり不安だよね。
私もこの歳で異動になったら最初は
相当不安だと思うから。


同じ物流でもここには知った顔もいないし、
東井さんから引き継ぎはされてるけど、
数字や業績も各倉庫でそれぞれ違う


私は勤めてる年数は少ないし、
パートさん達の方が色々知ってるとは
思うけど、力になれればいいなくらいに
感じていた



『おはようございます』

「おはようございます。」


一時不安だった大倉さんとは
仲良くなることはないにしろ意外にも
普通に仕事が出来ていた。


相変わらず顔立ちが可愛い子なのに、
作業着姿がしっくりしてきて見慣れてきた


『東井さんがいなくなったら
 すぐに違う人に乗り換え
 するのはしたないですよ?』


「はぁ?
 乗り換えもなにも、仕事中に
 そんなこと考えてませんけど?
 ‥‥今日忙しいのでいつも以上に沢山手を
 動かしてお願いしますね。」


 一言余計というか、言わなくていいことを
 平気で言ってくるところは相変わらずだ


苦手だけど、誰にでもこういう態度の
彼女は嘘がなく裏がないから
素直でいいんだけど、周りの人達は
今だに馴染めないでいる


悪気はないんだけど‥‥なんというか
放っておくしかない気もする。


『ま、私には関係ありませんけど、
 あの人ちょっと気をつけた方が
 いいかもしれませんよ?』


「えっ?何を気をつけるの?」


グイッと近づいた彼女がニヤリと笑うと、
耳元で小さな声で囁いた



『目が笑ってないんですよ、あの人。』


えっ?
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