彼女が服を着替えたら
ハルは主任に話したなんて
一言も言ってなかったし、
社内の人に軽々しく言う人じゃないと思う。


渡会主任のことは会社の後輩とは
聞いてるけど、こんなこと気軽に話せる
間柄なら絶対前もって教えてくれる。



どうしよう‥‥
なんて答えるのが正しいのかわからなくて
ゴクリと唾を飲み込む



「‥あ‥あの」

プルルルル   プルルルル


『‥‥ごめん、電話だ。先にいっていいよ。
 甲斐田さんまた明日。』


ドクン


冷や汗が流れ落ちる直前の電話に
本当は盛大にため息を吐きたいところを抑え、
頭を下げた私は自転車に乗り一気に漕いだ


そんな大したこと言われたわけじゃない‥‥


でも‥‥あの時一瞬、
瞳が笑ってないことに気がついてしまった。


ガチャガチャ ガチャン


『‥‥奈央?おかえり。
 今日遅かった‥‥な‥‥奈央!?』


息をちゃんとしながら帰って来たのに、
ハルの顔を見るまで息が出来てなかったのか、
私は苦しくなりそのまま足の力が抜けると
ハルに抱きついたまま気を失った

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