彼女が服を着替えたら
あ‥‥‥
ハルのために
料理を覚えたいからってここ最近
槙さんの時間を私が奪ってたから?


『僕は嘘はついてないよ?
 晴臣と甲斐田さんが付き合ってることは
 彼から聞いたって伝えただけだし。』


彼って言った後、槙さんの方を指差したことで
ようやく理解した。


彼ってハルのことだと勘違いしてた‥‥


てっきりハルと付き合ってることを
みんなにバラされて仕事に行けなくなるかと
不安で仕方なかった。


あの時は目が笑ってなさすぎて怖かったけど、
キャラが違いすぎる主任に
全身の力が抜けていく


「‥‥あ、あの主任‥すみません。
 ハルのために料理覚えたくて‥‥その
 槙さんに甘えてしまって‥‥」


付き合ってるなんてこと知らなかったし、
主任じゃなかったとしても、槙さんの
恋人のことなんて考えもしなかった。


もし私が槙さんの恋人だったら、
しょっちゅう恋人を差し置いて
違う女性に会いにいく槙さんに
ヤキモチ妬くはずだから申し訳なくなる


『ふぅん‥‥晴臣のためねぇ‥。
 今日も仕事中とは別人なくらい
 綺麗にして‥‥そんなに好きなの?
 晴臣のこと。』


ドクン


「‥‥‥‥‥はい、とても好きです。」


うわ‥‥‥
言ってから気付いても遅いけど、
慎さんや主任の前で堂々と言ってしまった!




『あっそう。じゃあ許してあげるよ。
 甲斐田さん、晴臣、デート中にごめんね?
 僕たちもデート中だからそろそろいくね。
 月曜日からまた仕事場でよろしく。』


「えっ?あ、はい!よろしくお願いします。」


『奈央ちゃん、臣それじゃあな。』


『槙、時間作ってくれてサンキュ、
 助かったよ。邪魔して悪かったな。』


最後にハルに思いっきり抱きついた主任を
慎さんがべりっと剥がすと、仲良く
腕を組んで行ってしまった。

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