彼女が服を着替えたら
クスクスと笑う東井さんに
顔が真っ赤であろうわたしは
俯いたまま小さくはいと声を出した



あれ‥‥そういえば
私‥もう泣いてない?

さっきまで止まらなかった涙が
嘘みたいに止まってることに今更気付いた


どうして?
あんなに悲しかったのに‥‥


『じゃあ行こうか。』


暗闇でニコっと笑った東井さんに
小さくコクリと頷くと、また頭を
ポンポンと優しく触られた


ただの部下にこんなふうに接してくれるなんて
東井さんは優しいな‥‥
なんで今まで知らずに来てしまったんだろう。


誰でも良かったのかもしれないけど、
今隣にいるのが他の誰でもなく
東井さんで良かったと思ったのだ
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