彼女が服を着替えたら
「それにしても‥‥なんかお似合いの
 二人だったね。」


槙さんは顔立ちも綺麗で中性的な
魅力もあるけど、よく考えたら主任も
カッコいいから並ぶとかなりお似合いだ


性別とか私は気にしないから、
好きになった人が異性じゃなく同性なだけで
幸せそうだし素敵だった‥



『そうだな。槙と付き合う前に俺は
 奏さんに狙われたことあるけどな?』


「えっ!!?」


さっきハルに抱きついてた時も
ベタベタはしてたけど、まさかハルを
狙ってたことがあるなんて‥‥


『クッ‥‥ハハッ!!なんて顔してるんだよ。』


「だ、だって‥‥職場一緒だから‥‥
 そ、そのハルのことまだ狙ってたら
 ライバルになるかなって‥‥」


『ライバルって‥‥
 俺の好きな人誰か知ってるだろ?』


ドキン


信号待ちになった時、ハンドルに
両腕を置いて私を見る視線が色っぽくて
私は顔が真っ赤になったと思う


サラッと真顔でストレートに
想いを伝えてくれるけど、いまだに
それに慣れる気配がない


『奈央』

「な、なに?」

『‥今日の奈央すごく綺麗だよ。』
 
「‥‥ほんと‥なに?‥ハルどうしたの?」


言われ慣れてないのもあるけど、
頑張っておしゃれした自分に向けて
言ってもらえるのは嬉しい


友達からでも、家族からでも嬉しいけど、
好きな人からの言葉ってとんでもなく
甘くて胸が締め付けられる


「‥こんなの‥‥
 ハルといる時しか見せないから」


普段から毎日キープできたらいいけれど、
本当に特別な時にだけ、普段着を脱いで
違う私になるのも悪くない


そう思わせてくれるほどの人に
こうして出会えたことが嬉しいから



『じゃあ俺のためにこれからも着替えるの?』




ドクン
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