彼女が服を着替えたら
『俺は残業して良かったけどね?
 そっか‥‥ツラいのに頑張ったな。
 またツラい時はこうしてご飯行こう?
 まだ甲斐田さんのこと知りたいから。』


「‥‥頑張れたんですかね。
 私別れてって言われたのに何も言えなくて、
 ‥‥ほんとはなんでって‥聞きたかったけ
 ど聞けなくて‥‥」


あーまずい‥‥

この楽しい時間を壊したくないのに、
ちょっと目頭が熱くなってきてしまう


東井さんとのご飯が楽しいのもあるけど、
友達と過ごすのとは違って、異性や恋人と
こんなふうに自然体で食事したこと
なかったなって悲しくなったのだ


『フッ‥‥大丈夫だよ。
 頑張ってたから泣けたんだろ?
 甲斐田さんを振った人はバカだな。
 ほんともったいないことしたね。』


今日何度目になるかわからないくらい
優しく頭を撫でてくれる手が優しくて、
その手が頭を引き寄せると、
東井さんの肩にもたれかかった。


頑張ってたから泣けたの?

今度こそは嫌われないように、
頑張りすぎないように、
わがまま言わないようにしてきた


それくらい‥‥やっぱり悠介のこと
好きだったんだよね‥‥‥
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