彼女が服を着替えたら
「‥なんか‥すみません」


『ん?好きなだけ甘えていいよ。
 誰も見てないから。』


初めての東井さんとの食事で
変な話聞いてもらったうえに
上司の肩にもたれて頭を撫でてもらうなんて
さっきまでは想像すら出来なかったけど、
今はこの温もりから離れれずに
瞳から止まらない涙を沢山流した


「東井さん‥‥今日は
 ありがとうございました。
 遅くまで付き合わせてしまいすみません。」


日付が変わる頃まで
泣き腫らした目で東井さんと槙さんに
慰めてもらい、目は腫れてしまったけど
心はスッキリしたまま帰って来れた


すっかり甘えてしまったけど
こんなに力を入れずにリラックスして
いられたのは
思い出せないくらい久しぶりだ‥


『すみませんはいらないからいいよ。
 それより泣かせて悪かったな‥‥
 目冷やして、今日はゆっくり寝て。』


ドクン


頭を撫でてくれていた手が、
腫れぼったい瞼に触れると
そのまま頬にそっと触れた。


さっき帰る前にトイレの鏡で見た
自分の酷い顔に卒倒しそうだったけど、
東井さんも槙さんも触れずに接してくれた。


「東井さん、私、今日、東井さんと
 過ごせて良かったです。
 彼のこと忘れるくらい楽しくて
 その‥‥」


上手く言葉が出てこない‥‥

頬に触れている手がひんやりとして
気持ちいいけど、
私を見る東井さんの視線に
少しだけ緊張してしまう


『甲斐田さん』

「は、はい」

『あのさ、まずは友達になってくれますか?』


えっ?
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