彼女が服を着替えたら
東井さんも酔っているのか、
意地悪くニコッと笑うと、
困ってるわたしを他所に
わたしの頭をまたあの時のように
なでなでし始めた


友達のあだ名みたいなことなんて
今まで一度も考えたことないし、
そもそも上司なのに名前で呼ぶのって
ハードル高すぎだ


あ、でもそうか‥今日から友達なんだよね?



「‥‥‥は‥‥ハル‥‥とか?」


呼んでおいて、今更だけど、
顔がものすごく熱くなり恥ずかしい!



はるおみとかいきなり呼べないし、
東井さんは年上だから奈央って
呼びやすいけど、話すの苦手な
わたしからしたら相当勇気が必要です。



『ハル‥‥か。ん、それでいいよ。
 奈央、じゃあ友達記念に。』


えっ?


掴んでいた肩ごと引き寄せられると、
冷たい唇がこめかみにそっと触れた。


握手とかじゃなく
まさかのハグに驚いたけど、
なんだか嬉しそうな東井さんに
よろしくお願いしますの意味を込めて
わたしも背中に手を回した。
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