彼女が服を着替えたら
『奈央、ここ座って一緒に飲もうか?』

「奈央って‥‥
 あのいいんですか?戻らなくて」


名前呼びを普通にしてきたので
焦りながらも、隣の椅子をひかれたので
とりあえずそこに座ると、
カウンターに向かってメモした紙を渡した。


『大丈夫だろ。一杯だけ付き合って。』



東井さんもしかして酔っ払ってる?


いつもよりも目が少しだけトロンと
している気がするけど、私に
向けられた視線は変わらず優しいままだ。



「い、一杯だけですよ?」


すぐに出されたお酒のグラスを
カチンとぶつけると、肘をついた
東井さんがこちらを見てきた。




「東井さん?」

『奈央さっき向こうでは普通に話してたのに、
 俺とはなんで敬語に戻るの?』


ドキン
< 44 / 169 >

この作品をシェア

pagetop