彼女が服を着替えたら
ニヤリと笑った東井さんは、
お返しかと言わんばかりに
私のボサボサにまとめた髪を
これでもかとグシャグシャに撫でてきた


『あ!!東井さん、何二人で飲んでんですか?
 早く戻ってきてくださいよ!』


個室から出てきた社員さんに
呼ばれた私たちは、
なんとなく目を合わせて笑ってから
忘年会をその後も楽しんだ。


『奈央、このあと槙の店で飲み直さないか?』


順番にタクシーに乗る人や、
駅に向かう人を見送る中、
こそっと耳元で言われた言葉に
小さくうんと頷き、
最後のタクシーに三人で乗り
主任をおろした後、槙さんのバーに
やってきた。
< 46 / 169 >

この作品をシェア

pagetop