彼女が服を着替えたら
ガチャ

『入って。』


BARから近いハルの家に連れて来られると
玄関の扉が閉まったと同時に
思い切り腕の中に私を閉じ込めて
抱きしめてくれた



「ウッ‥‥‥ツッッ‥‥」

『ごめん‥‥抱き締めるのが遅くなったな。』



ハル‥‥‥


振られた日にも優しくしてくれて、
こんな事実が分かってからも
変わらず優しくしてくれてありがとう‥


ハルのコートを握りしめて思い切り泣く
その間もずっと、頭を撫でて
抱きしめてくれる大きな掌は、
私をこんなにも素直にさせてくれている



「‥‥ハル‥グスッ‥も‥う‥大丈夫」


玄関先で靴も脱がずに
ずっと抱き締めてくれていたハルの胸を
そっと押すと、覗き込んできた顔が
優しく笑った


『‥‥またこの顔見ちゃったな。』

「‥‥ごめん‥服濡らしちゃった‥」



『もう時間も遅いしうちに泊まってく?
 着替えだけ取りに着いてくから。』


「えっ?‥‥近いから帰れる‥」

『どうせこのまま帰っても
 一人で悩むだけだろ?明日休みだし
 話聞いてやるから。ほら行くぞ。』
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