彼女が服を着替えたら
「お風呂先にありがとう‥‥
 ほんとにスッキリした。」


『‥‥ん、良かったな。俺も行ってくるから、
 冷蔵庫に入ってる飲み物適当に飲んで。』


何から何までお世話になります状態の
私にも嫌な顔一つしないハルに
なんだか申し訳ないと思いつつも、
一人で過ごすのはやっぱりツラいから
今日はここにいたいと思った


近くで連絡取れる友達は清香だけだけど、
編集で忙しい彼女に時間をとらせるのは
なかなか難しい


悠介が既婚者だと言ったら
清香のことだから殴り込みに来そうだし‥


地元の友達にもこんなこと相談できないし、
親には年齢的にも恋愛の失敗話は尚更できない


本当に偶然からのスタートだけど、
ハルと友達になれて良かった‥



ガチャ

『寒くない?』



お言葉に甘えて、冷蔵庫から
ミネラルウォーターのペットボトルを
いただいて飲んでいた私は、
お風呂上がりのハルに驚いて
持っていたペットボトルを
思わず落としそうになった。


「‥‥髪の毛下ろすと‥‥なんか
 違う人だね‥‥びっくりした‥」


黒のスウェットに包まれた東井さんは、
いつも仕事の時にセットされたスタイルとは
全く違って、無造作に下された髪の毛は
少し長めで色気がかなり増して見える。


少し見た目が違うだけで
知らない人のような気になって
変にドキドキしてしまった



『そうか?そんなこと言ったら奈央だって、
 髪の毛下ろすと別人みたいだけど?』


いつもはどうせボサボサですしね?


大したメイクすらしてない私だけど、
今更ながらすっぴんをさらけ出していることに
気づいてしまった
< 54 / 169 >

この作品をシェア

pagetop