彼女が服を着替えたら
次の日

なんとなく寝不足のまま仕事場に行き、
任されている仕事をこなしたあと、
帰る前に廊下に張り出されてる
ホワイトボードの前で立ち止まった


あ‥‥ほんとだ‥‥


東井さんのスケジュールのところに、
名古屋出張の文字を見つけて
また胸が苦しくなる


私ってこんなに弱かったっけ‥‥


『甲斐田さん、ちょうどいいとこにいた。』



えっ?


あ‥‥‥スーツ姿初めて見た気がする


初めて見た時もスーツ着たら
似合うから勿体無いって思ったけど、
目の前にいる東井さんは想像以上に
スーツが似合ってる


スタイルいいから私服もなんでも
着こなして素敵だからね‥‥



「どうしたんですか?」


『ん?今週出張で家にいないから
 渡しときたくて。』


「‥渡す?何をですか?」



『家の鍵』


えっ?


ポケットから出された真新しい鍵を
私の手を取ると握らせてくれて
優しく笑った

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