彼女が服を着替えたら

『寂しかったら俺はいないけど、
 いつも通り来て泊まってっていいから。』


ドクン‥


「‥‥なんで?‥いいの?」


『勿論いいよ‥‥。
 じゃ‥俺このまま出張行くから
 何かあったら電話くれればいいよ。
 お土産買ってくるから待ってて。』


頭をいつものようにグシャっと
大きな掌で撫でてくれると、
東井さんは優しく笑って行ってしまった。


‥‥‥ああ‥‥もう絶対これそうだ


ストンと体から力が抜け
その場に座り込んでしまうと、
掌にある鍵を握りしめて膝を抱えた


私‥‥多分‥ハルのことが好きなんだ
 
 
いつも当たり前にある生活が
なくなるかもって時に今更気づくなんて。


恋はしばらくしないって生きてたから、
ハルのことをそういう対象に見ないように
してただけなんだね‥‥


そっか‥‥
これが好きになるってことなんだ。


せっかく気持ちに気づけたけど、
友達になろうって言ってくれた人に
この気持ちは隠し通さないといけない


この関係が壊れるくらいなら、
平気で嘘だってつけるから。


ハルごめん‥‥好きになったよ
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