彼女が服を着替えたら
頬を両手で掴まれ強引に
上を向けさせられると、
案の定目の前にハルの顔があり、
いつの間にか目から溢れ出ていた涙が
ハルの手に水溜まりを作っていく


『フッ‥。もう限界だな俺も。
 ‥‥奈央のことが好きだ。』


えっ!?


‥‥好き?
ハルが私を?



優しく笑ったハルは、少しだけ
ツラそうな表情をすると、
そのまま私をそっと抱きしめた。


『ごめん‥傷付いてた奈央のそばにいたくて、
 友達になれば側にいられるって思ったけど、
 そんな顔されたらもう無理‥‥。』


ハル‥‥



『さっきさ‥槙に言ってたことが本当なら、
 奈央も俺と同じ気持ちって思ってもいい?』


ハル‥‥‥


心の中で何度もハルの名前を呼んでしまう。
ハルが私に対して友達以上の気持ちを
持っていたなんて知らなかったから
今届けられている言葉が奇跡のようだ‥



「‥私‥ハルを失うのが‥‥怖い‥‥」


止まらない涙で視界が滲み、
ハルのコートを握りしめる手に力が入る


「私‥‥ハルのこと本当に大切に思ってる。
 だからもしフラれたらって‥‥
 それなら友達のままでもそばにいられれば
 もういいやって‥‥でも‥‥」


頭を大好きな手が撫でてくれた後、
その手が私の頬に触れると
俯いていた顔をまた上に向けられ
ハルとまた視線がぶつかった



『ごめん‥友達にはもう戻れない。
 ずっとそばにいるから、奈央のこと
 恋人として大切にしていいか?』



今までで一番好きな笑顔を見せてくれた
相手に小さく頷くと、顔が近づき唇が触れて
私はハルにしがみついた
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