彼女が服を着替えたら
本当は理由が知りたい‥‥


今までだってろくでもない恋愛してきた。


でも悠介とは‥‥悠介とは
‥‥もしかしたらこのままって
どこかで夢見てしまっていたんだ‥


歳も同い年で、
話しやすくて楽しくて一緒にいると安心して、
もうこれが最後の恋だろうなって思えるほど
順調だと思ってたのに?


『本当にごめん‥‥会計済ますから
 先に行くな‥‥それじゃ‥」


えっ?


伝票をを手に立ち上がる悠介を
見ることが出来ない‥


引き止めたい‥‥それなのに
弱い心が邪魔をしてうまく声が出ない。


下を向いたまま
零れ落ちそうな涙を堪えて
膝の上で両手を握りしめる


泣いたらダメ‥‥
きっと悠介を困らせるからって


店員さんのありがとうございましたの
声かけとドアを閉める音を聞いた途端
口に手を当てて声を殺して泣いた。
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