彼女が服を着替えたら
クスクスと小さく笑いながらお酒を一口飲み、
テーブルにそれを置くと、両手が
しっかりと腰に回されたので、
私もハルの指をさすったあと手を絡めた



あんなに女気もなく愛想もなく、
どちらかといえば冷たい態度で
仕事してたのに見られてたことすら
全く知らなかった。



「髪ボサボサで繋ぎの作業着なのに
 可愛さあった?」



『まぁ‥それも気になった。
 なんでこんな男所帯にこんな子がって。
 でもきっかけはやっぱりあの日だろうな』


あの日?
あ‥‥‥もしかして悠介に振られた日?



「すごいよね‥‥目パンパンになるまで
 泣いてシャッターの前に座り込む女って。」


我ながら思い返しても、
美しくない思い出に苦笑いが出てしまう


『驚いたけど、あの後バーで話聞いてたら、
 どんどん興味湧いて、この子をもっと
 自然に笑わせれたらなって‥‥。
 気付いたらいい歳して
 友達宣言なんかしてたけどな?
 ところで、奈央は?』



「ん?わたし?」



『奈央はさ、
 俺のこと友達じゃなくなったのっていつ?』


えっ!?
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