振り向けば、キス。

「――楓はっ」


「うん?」


「あたしを守る為に、ここに居るんだよね!?
だったらずっとここに居てよ!
今日だって、すごい怖かったしっ…きっとこれからだってあるかもしれない――」


唯、もっと可愛く。甘えた調子でずっと傍に居てって、そう言うことができたら良いのに。

あたしには、こんな言い方しか出来ない。


――眠っている楓を見たら、どこかに消えてしまいそうで、怖かった――

今日、中々教室に楓が現れてくれなかった時が、一番怖かったんだから。


霞んだ視界に映る楓は、ひどく困った顔をしていた。

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