振り向けば、キス。
「楓おまえなぁ。もうちょっとくらい人情みせてやれよなぁ」

「あほ。俺は真実を言うてるだけやで。
中途半端に関わって、傷口晒すより全然優しいやろ。なぁ、氷沙?」

 波樹の軽口に、これまた軽口で返答していた楓だったが、氷沙の表情を伺ったとたんに、その端正な顔を凍りつかせた。
 同じくして、姉の怒りに気がついたらしい波樹も顔を引きつらせる。

「ちょ、氷沙?もしかして怒った?」

「氷沙?俺は協力するつもりまんまんだからな?すげぇ高原のこと心配だし!なっ」


「楓っ、なっちゃん!せっかく私たちを頼ってきてくれてる高原くんに対して、なんて言い草なのよ!もっと親身になって、話を聞いて、解決しなさい!!」
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