振り向けば、キス。

楓が口を開く。いつものように、困った顔をして笑っている。

嫌だ。聞きたくない。怖い。


楓に拒絶されることが、怖くて仕方が無かった。


――楓が居なくなったら、どうしたら良いんだろう?

冷静な頭が5年前に戻るだけだと囁く。


でも、駄目だ。

一度楓を知ってしまったから、もうそんなの意味がない。


それなのに。
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