振り向けば、キス。

***

「――お師匠さま!」

水竜は傷を負っている楓を置いていくことに、罪悪感を覚えながらも師匠である、水上を追いかけた。


水上は、厳しいが自分にとっては優しい師だと思っている。

極たまに、掴み知れない。自分には到底計り知れないものを持っている人だと思うことはあるけれど。


「水竜。――どうした?」

「お師匠さま、何故楓さんだけをあんな煽るような事を仰られたのですか?

今回の事は、楓さんだけの落ち度ではないですよ。
月の欠片が狙われていたことにすぐに対応を図らなかった、雨宮にも非はあります。

しかもうちの結界を破って、今日は侵入を図ったんですよ?」


しかも楓も怪我を負っている。

東京で起きたことでもあるのだから、雨宮が主導して氷沙を探せば良いのに。


しかし、水上は冷笑した。

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