振り向けば、キス。
「なぁ水竜。

月の欠片の異変に私が気付いていなかったとでも思っているのか?」


「………え?」


「形あるものはいつか滅びる。隆盛を誇った一族も、いつかは消えうる。

この時代に、天野と雨宮。2つもいらないだろう?」


「……それは、一体どう言う……」


水竜は、その続きを知りたくないと念じたはずなのに、口は勝手に話を促していた。

水上の口元に嫌な笑みが浮かぶ。

「――私は、天野を呑みたいだけだよ」


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