振り向けば、キス。
④それでもあなたが好きでした。
「……ここ、どこ……?」
まだ半分夢の中にいるかのように、ぼんやりする頭で氷沙は自分の周囲を見渡した。
そこは、どこにも境目がないような、ただただ真っ暗な闇の空間だった。
足元もまるで空中を歩いているかのようにふわふわとおぼつかない。
上も下も、右も左も、どこを見渡しても真っ暗な闇は、不思議に様々な『黒』の色を氷沙の瞳に映していた。
「ここ、どこ……?って言うか、なんなのよ、ここ……」
ためしに、数メートルほど歩いてみたが、どこにもぶつかることもなかった。