振り向けば、キス。
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「―――ったく、楓!お前のせいだからな!」


 氷沙にきれられたじゃねーか!とシスコン全開で怒りを露にしている波樹を、まぁまあといなしながら、楓は雨宮神社を出てから、この公園に来るまでずっと、所在なさげに自分たちに着いてきている高原に目をやった。11月の中旬に差し掛かろうとしているこの時期に、薄着のまま公園にいるのはキツい。

 不安そうな顔をして、きょどきょどしている高原が哀れと言ったら哀れなのだが。


「高原はな、ほんまはどないしたいの?
さっきも俺言うたと思うけど、幽霊の仕業やって仮に分かったとしても、警察に連れて行かれたって言う事実も、補導されたって言う事実も、なんも変われへんよ?
それを力説したとしても、頭おかしいって思われるんが関の山やで」


「おい、楓――」


「いいよ、波樹。天野先輩の言ってる通りだし。でも、俺知りたいんだよ。純粋に。
それに、もうひとつ。気になってることもあるし。だから、真実を知りたいんだよ」


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