振り向けば、キス。
蘇ってきたのは、自分の目の前で氷沙を掻っ攫っていったあの男の声だった。
自分さえ、もっと強かったら。自分より優れた人間が、氷沙を守れるというのなら。
「――――はい、わかりました」
いつ訪れるのかと怯えていた終末は、案外近くに転がっているものなのだなと、変に冷静な思考回路でそう思った。
唯、心が重かった。
それでも、今は。氷沙を助け出すことが先決だ。それに集中しなくては。
―――まっとり、氷沙。俺が、すぐに助けにいったるからな。
たとえ、それが氷沙に自分がしてやれる最後だとしても。
自分さえ、もっと強かったら。自分より優れた人間が、氷沙を守れるというのなら。
「――――はい、わかりました」
いつ訪れるのかと怯えていた終末は、案外近くに転がっているものなのだなと、変に冷静な思考回路でそう思った。
唯、心が重かった。
それでも、今は。氷沙を助け出すことが先決だ。それに集中しなくては。
―――まっとり、氷沙。俺が、すぐに助けにいったるからな。
たとえ、それが氷沙に自分がしてやれる最後だとしても。