振り向けば、キス。
「――さぁ、なんでやろな」


「実は、最近すごくこの周辺で多いらしいんですよ。自分には身に覚えがまったくないんだって言う容疑者が。
そして本当にその容疑者には、そのときその事件を犯したって言う点以外で、まったく不審な点がないんですって。
つまり、俺と一緒なんです。
だから、もしかしたら何らかの犯罪組織があるんじゃないかって考えていたんでしょうね。案外、警察署では同情的でしたよ」


「それって、楓!結構やばいんじゃないか!?」


 高原がしゃべった内容は、波樹には衝撃的だったらしい。姉に似た丸い瞳をさらに丸くして、驚愕の色を浮かべている。

 
 ―――めんどくさいこと、言い出しよったわ。そんなん言うたら、また波樹が必死になるやろ。やっと、落ち着かした思たらこれか。


 うっとうしい。舌打ちをしたいのを堪えて、楓は無表情を取り繕った。


 
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